文化、自然、土地、場、人、時間——。
そこに眠る価値や物語を読み解き、新しい体験体感として表現し届けることで、
世界の見え方感じ方を少しだけ変えていく。
ABOUT
Takayuki Tanaka
田中 孝幸

文化、自然、土地、場、人、時間——。
そこに眠る価値や物語を読み解き、新しい体験体感として表現し届けることで、
世界の見え方感じ方を少しだけ変えていく。
世界は、まだまだ面白い。
誰かにとっては何気ない風景が、別の誰かにとっては、かけがえのない物語になる。
表現の原点は、「花」だった。花をレンズにして世界を見つめ続けた。 しかし、そのレンズの先に広がっていたのは、花だけではなかった。
一輪の花。
一杯の茶。
土地や場に育まれる営み。
文化、旅、建築、料理、歴史、文学、音楽、祭り、風習、自然。
そして、人。
「花」は目的ではなく、世界を知るための入口だった。 ひとつのものを深く見つめることで、その背景にある文化や自然、人の営みが見えてくる。 そうして私の関心は、花という領域を越え、出会う世界そのものへと広がっていった。
私は、そうした世界と出会うたびに立ち止まり、眺め、感じ、想い、問いを立てる。
なぜ、この地には、この文化が育まれたのだろう。
なぜ、人はこれを美しいと感じるのだろう。
時間をかけて育まれてきたものの中に、どんな価値や記憶が息づいているのだろう。
その問いの先で、自分なりの解釈を見つける。
私にとって、表現とは作品をつくることだけではない。
世界と向き合い、感じ、問い、解釈し、その本質を見つめ直すこと。
異なるものを結び合わせ、編集し、新しい意味や物語を見出すこと。
そして、それを誰かと分かち合える『表現のかたち』へ変えていくこと。
それらを空間、舞台、旅、映像、音、言葉、アート、演出、出来事、体験など、その時々に最もふさわしい方法で表現すること。
手法は変わっても、営みは変わらない。
その表現を通して、
「こんな見方もある。」
「こんな感覚もあったんだ。」
「こんな世界も、美しい。」
そんな小さな発見や共感が生まれ、 自分や誰かの世界の見え方と感じ方が、 ほんの少し変わる瞬間が生まれることを願いながら、 私は表現を続けている。
大学卒業後、出版の世界を経て、「花」の世界へ。
花卸売市場勤務時代、世界的フラワーアーティスト、ダニエル・オストとの出会いをきっかけに、世界遺産でのエキシビションをはじめとする創作の現場に携わり、その創作姿勢に深い影響を受ける。
独立後は、花や植物を起点としながらフィールドワーク的探求手法で活動領域を広げてゆく。
空間演出、アート、ランドスケープ、企画・演出、クリエイティブディレクション、文化・観光コンテンツ開発、連載執筆など多数、領域を拡張横断した活動を展開。
現在は、『花』を入口として独自に培った視点観点を礎に、文化、自然、歴史、土地、場、人、時間と向き合いながら、新たな価値や物語を表現し続けている。
京都・大本山建仁寺塔頭両足院で開催された「MODERN KYOTO CERAMIC 2015」(2015年11月1日~11月3日)において、陶芸家/大森準平と協働した作品を発表。共通テーマである【琳派】を主題に、両足院の池上と茶室を舞台にして、尾形光琳の「紅白梅図屏風」をモチーフにした空虚や真空の世界観を表現した。
日常で誰もが使う生活家電に、咲き誇る草花を組み合わせ、無機質な人工物と生命の躍動を伝える植物とのコントラストに着想した【Debut -Beauty in Life-】(2016年3月1日~4月5日)を、蔦屋家電とのコラボレーションにより制作・展示した。
京都「太秦江戸酒場《UZUMASA EDO SAKABA》(東映太秦撮影所)」(2016年8月27日~8月28日)において絵師・伊藤若冲をテーマにしたインスタレーション【Homage to Jakuchu】を発表。
映像デザイナー/EDP graphic works、水墨画家/吉田翔、書道家/岡西佑奈、音楽家/JEMAPUR、樂焼陶芸家/小川裕嗣とのコラボレーションによる展示を行った。
谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」にあるように、日本文化に深く根差してきた「光と陰」をメインテーマに、【陰陽花:One breath of flowers in the yin and yang】(2018年10月19日-10月28日)を代官山のTENOHAを舞台に制作・展示。
日本を代表する女性誌である「婦人画報」(ハースト婦人画報社)にて【東京百花】を巻頭連載(2018年4月号~2019年3月号)。
東京の12の街を舞台に花をいけ、毎月異なる女性作家陣の寄稿文と合わせて独自の世界を表現した。
連載に寄稿頂いた作家陣は、【大宮エリー /山内マリコ /本谷有希子 /藤野可織 /小川糸 /川上弘美 /中島京子 /山田詠美 /恩田陸 /辻村深月 /朝吹真理子 /村田沙耶香】の12名。この企画と経験で得たものがその後の表現の大きな軸となる。
同誌2018年12月号では、丹下健三設計の「東京カテドラル聖マリア大聖堂」にて、同教会の十字型のトップライトから降り注ぐやわらかな光の中に立つ樅のクリスマスツリーを制作し、丹下都市建築設計のHPでも紹介される。
ダイワハウス工業株式会社と、予防医学者/石川善樹と共に、都市ストレスを軽減する家【森が家】を企画・開発する(2019年1月)。
建築の付随物としての植栽ではなく、住宅のコアコンセプトを担う「森の構成要素」を活用した空間デザインを担う。
予防医学の観点を取り入れ、「都市ストレスの解消」を基準に、まるで森の中で暮らしているかのように感じる空間や設えを設計した。
『安定した生活を維持するために、外部環境を遮断する形で進化してきた都市生活環境が、光の明暗や音の強弱といった自然本来の「変化」を人間の生活から取り除いてしまい、生活が自然からかい離しすぎたために、結果として利便性と引き換えに心身に負荷をかけている』と分析。
人間が生き物としてのバイオリズムに則った暮らし方ができる家を訴求するため、自然界に必ずある光と影、明暗を感じられる住まい空間をデザイン・プロデュースした。
独自の染色技術で国内外の人気を博すレザーブランド『YUHAKU』とコラボレーション。レザーと花に「生命の脈の美」という共通点を見出し、レザープロダクト【THE ART OF FLOWER】を発表する(2019年1月)
茨城県県北振興局が主催するプロジェクト『茨城県北ガストロノミー』にて、2020年度のクリエイティブディレクターに就任。
茨城県北地域(日立市、常陸太田市、高萩市、北茨城市、常陸大宮市、大子町)に育まれる自然・文化・歴史・空間など風土の魅力全てを融合させて再編し【一皿の料理】に込めて、魅力を発信するプロジェクトの企画と、そのクリエイティブ全般と空間設計・演出を担う。
『婦人画報』2020年7月号誌上にて、金沢で約350年の歴史を誇る焼物・大樋焼の十一代・大樋長左衛門を父にもつ陶芸家・建築家の奈良祐希氏と対談。
奈良氏制作の花器「Bone Flower」に特別に花をいける誌上コラボレーションを展開する。
フランスの高級車ブランドDS Automobilesの依頼により、東京のミッドタウン日比谷において、仏日の美意識融合の象徴とした新作【美意識の中庭~Jardin Intérieur, Manifestation de la Beauté ~】を制作、展示・発表。(2020年8月22日~23日)
奈良市が運営する創業支援施設BONCHのリノベーションプロジェクトにおいて、クリエイティブディレクション・企画空間デザインに加え、使える常設インスタレーション【磐座~iwakura~】 の制作を担う。
「よい仕事」が生まれる環境とは、その地域、風土を五感で受け止め、個々の内面のリズムと共振できる場であるとの認識から、「奈良の風土を五感で受け止められるような室内外の境界を溶かすワークスペース【TEN】」を創り上げた。
天井を抜いたままという未知のデザインで、四季の気配や自然光、町の音、悠久の時を打つ寺院の鐘の音など外の気配を、室内ワークスペースとつなぎ、奈良に降り注ぐもの全てを感じながら仕事や思索に耽ることができる空間を創出し演出した(2021年6月)。
「県外就業者が多い奈良市は、これまで大阪や京都のベッドタウンという位置づけでした。“暮らすまち”に加えて“よい仕事ができるまち”へと、転換をはかります。そのためにあらゆるウチ(内)とソト(外)を相対化し、自由に行き来できる次の時代のはたらき方を、ここ奈良から提案していく」という奈良市とBONCHIの意図を空間で具現化した。
ダイキン工業のプロダクトデザイナー・関浩一郎氏と【心地いい空気をどう作る】クリエイター対談(2021年10月)
空間デザインを担った大和ハウス工業のTV-CM【MARE】篇が放送開始。
曖昧な境界線によって室内と外をつなぐことを特徴とする日本の美意識を宿す家をテーマとしたTV-CMのための作庭や室内空間デザインなどを担当した(2021年10月)
自身が企画空間デザインした奈良市の創業支援施設のワークプレイス『TEN』にて対談イベント【Work Magic NARA】を始動(2021年10月)
2ヶ月に一度、約一年間をかけて様々なゲストを奈良に招き、回を重ねながら「はたらく(=生きる)こと」への思索を共に深めることをテーマに対話を続けた。
対談相手は、写真家の三好和義 / 映画監督の大森立嗣 / 染色家の吉岡更紗 / 霊長類学者で第26代京都大学総長の山極壽一 / 精神科医の星野概念 / 劇作家で演出家の平田オリザ / など多種多様な6人の人物に依頼した。
この対談はメディアにも取り上げられ注目を集めた。
2022年11月に平田オリザ氏との対談「対話から生まれるものたち」で最終回を迎えた。
ファッションとデザインという日々の生活の営みには欠かせない2つの分野にフォーカスを置き、すべての生活者に開けた祭典:『TOKYO CREATIVE SALON』と『SHIBUYA-FASHON WEEK』の依頼を受けインスタレーション【蓑虫庵】を制作する。
渋谷区立北谷公園に建築家の谷尻誠・吉田愛が率いるSUPPOSE DESIGN OFFICEが設計したA-BOX内に、東京都の街路樹剪定で出る廃棄枝材を独自利用して、アップサイクルでプリミティブな静謐内的空間【蓑虫庵】を創作、演出し、東京都知事・小池百合子も訪れる。(2022年3月)
初個展・【古器と併花】を開催する。
縄文時代~鎌倉時代までの古器に、東京の野辺に咲く花をいける。折り重なった時代と時間の古層に、足元にある「今」を重ねることで浮かび上がる空気や情感を眺めて頂く空間を創出する。(5月~6月)
BMWとのコミッションワークとして、東京・表参道交差点に大型インスタレーション・【 Homage to 北斎 HOKUSAI 】を制作展示する。
ドイツバイエルンのBMWアイデンティティ・Blue・美意識と、日本の文化・美を繋ぐものとして、世界的にも有名な浮世絵・葛飾北斎の「富嶽三十六景・神奈川沖浪裏」をオマージュして独自の造形物と風景にすることを発案。BMWの最新モデル電気自動車を、浮世絵中の舟に見立てることで「躍動感」とその「自然美」を同時に演出した。4m超えの竹や霧なども使用して、風や雨などを音や香りなどの体感五感で感じてもらえる意匠が街ゆく人々に好評を得る。都心真夏の2ヶ月間に草花が育って変化していく姿も大きな話題となる。(7月~9月)
NISSANとのコミッションワークとして・正月特別flower installation【Homage to 松林図屏風 】を銀座4丁目交差点NISSAN CROSSINGと、横浜のNISSANグローバル本社ギャラリーにて展示。
毎年正月に東京国立博物館で公開される長谷川等伯作、国宝『松林図屏風』をオマージュ。「もし松林図屏風に裏絵が存在したら」という架空のストーリーを設定して、NISSAN90周年の年に、銀座と横浜をつなぐインスタレーションを展開した。(2023年12月~2024年1月)
JRAからの依頼でARC「アジア競馬会議@SAPPORO」の為に、札幌競馬場の特設会場にて、【flower installation『紫雲』】を制作。
白樺やラベンダーや草花や牧草など全て北海道産の素材で完成させた。北海道の大地に降り立った日に、空に浮かんでいた雄大な紫の雲にインスピレーションを受け、『紫雲』とした。(8月~9月)
Googleからの依頼で、Googleとのコミッションワークとして【flower installation『NEW MOON』for Google [BEYOND] 】を制作展示する。
月がない新月の夜に、月を生むことでGoogle[BEYOND]に集う世界の人々を優しく照らす。
1200年以上前から日本で親しまれている「お月見の様式」をオマージュするかのように、懸け造りの舞台を作り、その上の鏡水盤に月を浮かべ、水辺を季節の草花でGoogleカラーを基調に彩っていく。それらは一つの生態系のように円盤の中で揺れ踊る。Guestたちに1000年前の日本の「雅(優雅)」の様式を、今風にイメージしてもらいながら楽しんでもらう意匠とした。草花の光と影を楽しんでもらうインスタレーションを展開した。(10月)
株式会社JTBと共に文化・空間・食を融合させた文化風土没入型体験である新たなイベントブランド【かげろひ】を立ち上げる。企画/調査フィールドワーク/脚本・総合演出とクリエイティブデレクションを担う。(10月)
【かげろひ】は、文化人、アーティスト、料理人など多彩な表現者との共創により、日本各地を舞台に日本の精神性や文化に根ざした美意識を具象化させるプログラム。各地の風土・文化を丹念に掘り下げた、「かげろひ」独自の演出と体験を創出する。
これまでに京都と鎌倉にてそれぞれ、【かげろひ-乞雨kouu-京都・両足院篇】(7月)、【かげろひ-虚空-川端康成と鎌倉の美】(12月)を実施。
【かげろひ】という言葉の概念(コンセプト)は、「立ちあらわれても、消えていくもの」を意味している。一瞬の光景や身体を駆け抜ける感動、思わずこぼれる吐息や涙といった、「つかみどころのなく消えゆくもの(花のようなもの)」の魅力と価値、これが日本文化を貫く通奏低音になっているのではないか、という意識に基づいている。
世界的建築家・磯崎新氏も論じたこの美意識は、日本文化の根幹をなすと同時に、現代社会においても大きな示唆を持っていると考えた。この「かげろひ」の思想を現代の体験に落とし込み、文化の担い手との共創を通じて、文化の探求と地域社会への還元を同時に実現していきます。
山口県長門市にある600年続く県内最古の長門湯本温泉と、およそ400年の歴史を持つ萩焼・深川萩の窯元集落「三ノ瀬」にて、萩焼深川萩振興協議会との特別展示【陶の花〜光は今日も降りそそぐ〜】を開催。
5つの古窯の作家たちと半年間の対話を重ねて、作家たちの器に、長門湯本温泉と三ノ瀬集落に咲く草花のみでいけた作品を、三ノ瀬公民館を会場に展示した。その土地に暮らす人々と風土の営みの中で開催できた示唆に富んだ記憶に残る展示となった。
深川萩の陶芸家8人:
十六代・坂倉新兵衛さん、坂倉一渓(十五代)さん、十三代・田原陶兵衛さん、田原崇雄さん、十四代・新庄助右衛門さん、新庄紹弘さん、十代・坂倉善右衛門さん、坂田泥華さん。
Takayuki Tanaka
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